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ジャニーズ系のジェームス

【ジャニーズ系のジェームス君】

あれは私が貧乏だった学生時代の頃、
ルームメイトのSちゃんと私にはジェームス(匿名)
という日系人の男友達がいた。

ジェームスは20歳で背がとても高くジャニーズ系の顔立ち。
性格も超明るくて笑顔には白い歯がキラリと光る美形。

両親が日本人だから日本語も英語も両方ぺらぺら。
ワイキキのお土産店でアルバイトをしていた彼は
いつも日本人女性観光客の人気者だった。

どうして知り合ったのかは忘れたけど、
私とルームメイトのSちゃんにとって、
いつしか家族のような、
弟のような、存在になっていた。

引越ししたばかりで何もない私達のアパートに
鍋からフライパンから生活用品一式、
じゅうたん迄持ってきてくれた。

彼の口癖は一つ覚えのように、
「留学生は貧乏だから可哀想だよぉ~」

「一体どうやってこんなに集めてきたの?
まさか家から持ってきたの?」
と聞くと…

「帰国した留学生が置いていった物だよ。
でもじゅうたんは引越し祝いで僕が買ったんだよ。」

こんなに親切にしてもらって、
まさかここに住み込むつもりじゃ?
と心配してしまった私達だけど、
彼はいつも明るく一人で喋りまくって帰って行った。
(ルームメイトのSちゃんに恋心を抱いていた
事が後から判明)

そんな彼に日本から逢いに来るファンの
女性達が大勢いた事はわかっていたけど…

まさかあれほどだとは思わなかった。

私達には何故かそのデートにほとんど
毎回お呼びがかかった。

「Sちゃん、ハワイ市場ちゃん、
今日もどーせろくな物食ってないんだろう?
沢山美味しいものがあって食べきれないからおいでよ。」

いそいそと自転車でワイキキ迄出かけて行くと、

そのレストランには大阪から来たという
20代後半くらいの女性二人とジェームスが座っていた。

食べきれないほどのご馳走がテーブルに並ぶ。

「こんにちわぁ~留学生なんですかぁ~いいですねぇ~
どうぞどうぞ食べてってぇ~!」
…と服装も派手でお化粧の濃いOL風の二人。

とりあえずガツガツ食べる私達。

ジェームスが
えらく高そうなスーツと時計を私達に見せた。

「見てみて。これ買ってもらったよ。
アルマーニのスーツとホイヤーの時計だよ。」

子犬のように喜ぶジェームス。

「ひぇーこんな高そうな物買ってもらったの?」 
…食べる口を動かしながら驚く私達。

女性達は笑顔でこちらを見ながら言った。

「私達、ジェームスに何か買ってあげるのを
楽しみに普段日本で働いてんねん。」

(^。^;)  (^-^; 
「あっそうなんですかぁ…もぐもぐ」

帰りにジェームスが、
食べ切れなかった料理を全部持たせてくれて、
「又誘うから食べに来いよ~」
といつものごとく明るく笑う。

ジェームスって、
金持ちと貧乏人の付き合い方を分けてるよなぁ~
と感心する私達だけど心は複雑だった。

その後も日本人観光客の女性達とジェームス、
貧乏学生二人組みという奇妙な組み合わせで豪華なお食事会?
が時折開かれた。

しばらく連絡がないなと思った頃、
ジェームスはモデルにスカウトされて
日本へ引っ越して行くという知らせ。
皆でお別れ会をした。

いつも明るくて、
何か必ず食べ物を持って遊びに来る彼が
いなくなって少し寂しくなった私達。

日本から一度手紙が来たけど
今頃どーしてるのかなと時々思う。

きっと、高級クラブのホストにでもなって
又何か買ってもらっているのかなぁ~
という気がしないでもない。

世渡り上手な彼だったから、
きっと幸せになっているのは間違いないと思う。


19歳のアメリカンと恋に堕ちて


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